2021年9月18日
2010年問題は、製薬業界の大手メーカーが、2010年前後に経営不振に見舞われる可能性が問題視されたもの。2つの原因がある。
一つは、2010年前後に大手製薬メーカーの収益を支えてきた大型医薬品の特許失効が相次ぎ、独占販売制限が解かれ、市場シェアが縮小、価格が低下し、大幅な売上減少が懸念された為。
医薬品メーカーが、一つの新薬を世の中に送り出すまでに、10~20年の年月がかかる。研究開発、臨床試験、承認申請により審査を経て、製造・販売となる。新薬は特許取得する。新薬の独占販売が可能な特許の最長期間は25年である。
世界最大の市場を持つ米国で、この事態の影響が顕著で、欧州や日本も例外ではなく、世界的な製薬業界の問題となった。
大型薬の特許失効により、特許満了した薬の位置づけになり、他社も類似医薬品の販売をしやすくなる。後発品を製造するジェネリック医薬品メーカーにも医薬品開発の幅が広がり好都合である。日本は、政府も医療費削減を目指し、後発医薬品を後押しする政策を行い、後発医薬品メーカーの収益は上昇傾向にある。
一つは、特許失効を迎える大型主力品は、80~90年代に開発されたものが多く、以降大型新薬がほとんど生まれていない。
それまでの技術で開発できる有効新薬の完成度も高く、その先は、複雑な疾病の治療に使う新薬が求められる。がん、アルツハイマー、精神疾患の大型新薬の開発は長期化している。
新しい技術となるバイオテクノロジーを取り入れた「バイオ医薬」「抗体医薬」の開発が進んでいる。2010年以降、シェアの確保、新たな研究開発力の強化を目的とする製薬業界の世界的M&Aも活発化している。大手メーカーの後発医薬品事業への参入、海外展開も盛んになり、製薬業界のビジネスモデルも大きな転換が起こった。
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